犬の肥満細胞腫の治療法のひとつ

犬の肥満細胞腫は比較的多くみられる代表的な犬の皮膚腫瘍です。

いろんな形態をみせるので見ただけでは判断できません!

安易にできものがあるから「ちゃちゃっと採っちゃうね〜」は絶対にやってはいけないこと‼︎

犬の肥満細胞腫は悪性腫瘍に分類されるので、イボや良性腫瘍のように腫瘍の周りだけとるようなことをしてしまうと腫瘍細胞を取り残してきてしまうことになり、あっという間に再発です...

 

今回の子は当院に来る1ヶ月ほど前から抗生剤やステロイド剤を飲ませていたようですが、どーもスッキリしない...ということでセカンドオピニオンで来院されました。

前足の指の間に腫瘤があり、まずは細い針を刺しての細胞診

肥満細胞腫に特徴的な“アズール顆粒”という赤紫色に染まる顆粒が認められれば比較的容易に診断がつくのですが、この子の場合あまりはっきりとした顆粒が認められません。

形質細胞腫という良性腫瘍の可能性もあったのですが、確実な診断をつけなければ後々大変なことになります。

次のステップはちょっと麻酔をかけての組織生検へと進みました。

採材したサンプルを病理の先生にみてもらったところ、『肥満細胞腫グレードⅡ』と確定診断がでました。

外科手術にてこの腫瘤を切除してしまえば完治も期待できるのですが、悪性の腫瘍であるので“マージン”といって正常な部分も2~3cmほど含めて切除しなければいけません。

この子にそれをやってしまうと指がごっそりなくなってしまいます。

そのため従来は腫瘍を切除した後に、腫瘍細胞が残ったままであるため術後に抗がん剤や放射線照射などの補助療法を組み合わせて治療を行ってきました。

もちろん今回のケースも外科手術+補助療法(抗がん剤や放射線療法)を行ってもいいのですが、病理の先生のご厚意で特殊な免疫染色を行ってもらったところ肥満細胞腫の子で特徴的なc-kit陽性像が得られました。

犬の肥満細胞腫ではKITというある遺伝子変異を持つ個体が26%ほどいると報告されており、その保有率と組織グレード(悪性度)には関連性があるといわれています。

つまり、グレードⅢの症例では50~70%ほどの変異があるのに対し、グレードⅠではほとんど変異がありません。

この子はグレードⅡで、c-kit免疫染色で陽性反応も確認されていることから、KITをターゲットの一つとして効果を発揮する「分子標的薬 パラディア」を使える可能性が見込まれました。

ステロイドや抗がん剤とはジャンルが異なるお薬で、懸念される重大は副作用もほとんどありません。

このお薬が効いてくれれば、だんだん腫瘍は小さくなり、場合によっては肉眼ではわからなくなることもあります。

ただし、基本的にはずーっと飲み続ける必要性があり、決して安いお薬ではないので、服用を始める際にはその点も含めてしっかりとご説明させていただいています。

 

まだ飲み始めたばかりなので今後の動向を追っていきたいと思います!

 

↓に参加しています。ポチッとお願いします♫