当院には犬猫以外にもいろんな動物がやってきます。
比較的多いのはウサギやハムスターにインコなどですが、先日は同日に3頭フェレットが来院しました。
同じ哺乳類のウサギやハムスターに比べると飼育されている方は少ないといった印象を勤務医時代から持っていましたので、診察にあたった記憶も少ないのですが… ww、近所でフェレットの診察をしてくれる病院がないとの理由でも来院されるケースは結構あります。
そして診察を行うケースで僕がほぼほぼ遭遇するのがフェレットの三大腫瘍です。
『インスリノーマ』、『リンパ腫』そして本日お話しする『副腎疾患』です。
副腎疾患はフェレットを飼育されている方はほぼご存知なくらい有名な病気です。
国内で見かけるフェレットのほとんどは北米やニュージーランドのファームで繁殖されており、現地で不妊手術を済ませた状態でペットショップで販売されています。
フェレットの副腎疾患は犬でのクッシング症候群(下垂体性副腎皮質機能亢進症 PDHや機能性副腎腫瘍 AT)とは異なる病態であるとされています。
犬のクッシング症候群はコルチゾールと呼ばれるステロイドホルモンが過剰に放出されることで起こりますが、フェレットの副腎疾患は性ホルモンの上昇が様々な症状を引き起こすことがわかっています。
なぜフェレットに副腎疾患が多いのかはいくつかの仮説が立てられていますが未だに原因の解明には至っていませんが、その有力な説のひとつに早期の不妊手術が影響を及ぼしてると考えられています。
症状としては、脱毛(フェレットには季節性の脱毛もあります)、メスであれば外陰部の腫大、オスであれば前立腺腫大による排尿障害、被毛の変化や過剰な皮脂線分泌によるベタつきなどがあります。
診断としては、超音波検査で副腎を描出してサイズを測定することでほぼ診断可能です。リンパ節と間違えることもないとはいえませんが、副腎の解剖学的な位置関係を把握できていればまず問題はないと思います。
治療は大きく分けて2つ。
外科手術で大きくなっている副腎を切除するか、写真にあげたようなホルモン製剤を使って副腎の働きを抑えていく方法です。
左側の副腎は太い後大静脈から離れた位置にあるため外科的に切除しやすいですが、今回の子のように右側の副腎が大きくなっている場合は後大静脈と隣接しているので外科的切除が難しくなります。
一方で内科治療で使用するのは酢酸リュープロレリンというホルモン製剤で性ホルモンの分泌を抑えていきます。月1回の接種を行いますが、一生涯投与が必要となります。
個人的にはこのリュープリンに加えてメラトニン(国内未発売)という経口薬と一緒に内科治療を行っています。
根治を望めるのは外科になりますが、麻酔をかけてお腹を開けて出血などのリスクを抱えて場合によっては完全に取りきれないことも考えられます。
内科治療は根治させるのではなく、先にあげたような臨床症状の緩和(対症療法)を行うものだということを理解しておかなければなりません。
どうやって治療を進めていくかは飼い主さんの希望を第一に尊重しています。
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