昨夜は緊急で喉にリンゴを詰まらせたワンちゃんが来院されました。
喉...といっても詰まっている場所は食道で、レントゲン写真では胃のすぐ手前まで来ています。
食道は筋肉で出来ている臓器(犬ではほぼ横紋筋、猫では横紋筋と平滑筋)で、食べ物の塊が咽頭部に押しやられると、咽頭部の筋肉の収縮・弛緩によって“蠕動波”によって塊を押し進めて確実に胃内に通過させる、というメカニズムでできています。
また、食道は胃や腸と違って、一番外側の漿膜という構造を欠きます(胃や腸は5層構造になっていますが、食道は3層構造です)。
オーナーは「最初は喉の辺りに見えていた」とのお話でしたが、先に書いたように蠕動波によってどんどん塊は胃に向かって押し進められていきます。
症状はまったくない子もいますが、吐き出しやえずき、よだれ、咳などが認められますが、胃に問題があるわけではないので基本的に嘔吐はありません。
咳はよだれが溜まり過ぎて誤嚥を起こすと見られることがあります。
僕ら人間でも誤って気管に入ると“むせる”ことがありますよね? それと同じです。
食道は3層構造のデリケートな臓器ですので、このまま放っておくと食道炎を引き起こしたり、詰まっている物によっては穿孔してしまうケースもあります。
処置は全身麻酔をかけて、今回は飲み込んだのがリンゴと予めわかっていたので、胃洗浄で使う太く硬めのチューブを使って胃の中に押し込んで無事に終了です♫
『りんご、梨、柿』はこれまで犬で遭遇した食道内異物でのトップ3ですね。
犬は人間みたいに細かく口の中で咀嚼しません。
ある程度の飲み込める大きさであれば飲み込んでしまいます。
人間と一緒に室内で生活する現代ではリンゴなどを与える方がいらっしゃいますが、あげるなとは言いません。
あげるんであれば、擦り下ろして与えてください。
このぐらいの大きさなら大丈夫でしょう...と思っていても、あなたの愛犬は噛まずに飲み込んでいますから!!
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