胆嚢の病気 その❶

胆嚢の病気のひとつに『胆嚢粘液嚢腫』という要注意!要警戒‼︎の疾患があります。

今回はこの疾患について2回に渡った解説していきたいと思います。


まず胆嚢の役割について。

胆嚢の中に溜められているのが「胆汁液」です。

よく犬が朝一で黄色液体を吐いた...なんてご経験はないでしょうか?

あれです。

胆汁液は主に脂肪を吸収するための消化液のひとつで、肝臓で合成され、胆管を経由して、胆嚢内に一時ストックされます。

空腹時にはどんどん胆汁液が溜められていきますので、胆汁液で満たされた大きな胆嚢になります。

そして、口から食べ物が入ってくると十二指腸の開口部から胆汁液が腸管内に分泌され、十二指腸裏に張りついている膵臓から分泌された膵液と共に消化・吸収を行います。


問題となってくるのはこの胆汁液が本来“さらさら”なはずが、“ドロドロ”になり、寒天ゼリーみたいに固まってきて、やがて“カチンコチン”になって胆嚢や胆管に悪影響を及ぼすことです。

このドロドロになってきた状態を『胆泥症』といい、さらに粘度が増して固まってくると『胆嚢粘液嚢腫』といいます。

ただし、胆泥症というのは病名ではなくあくまで臨床的な病態を指すものであって、ドロドロになってきている段階でもすでに初期の胆嚢粘液嚢腫というステージにあると考えられています。


ここに4枚の別々の犬の超音波写真がありますが、これらはすべて胆嚢粘液嚢腫という状態です。

超音波ビームは液体を黒く描出しますが(エコー検査で黒く写る臓器は基本的には膀胱と胆嚢だけです)、4枚とも胆嚢内に白く・まだらに写し出されています。

これは泥状もしくは固形化した胆汁液が胆嚢内に停滞している状態で、胆嚢破裂と胆管閉塞のリスクがとても高くなります。


近年、特に犬で胆嚢疾患が多いとされる理由としては良い物を食べていることが一因として挙げられます。

基本的には総合栄養食のドッグフードと水を与えられていれば、栄養学的には何ら問題はありません。

しかし、屋内で人間と一緒に生活しているとついついジャーキー等のおやつを与え過ぎたり、人間の食べ物を与えがちです。

一旦その癖をつけてしまうと、素っ気ないドッグフードよりも人間が食べてる美味しそうな食べ物をせがみ、私たち飼い主もそれに応えてしまいます。

そうなると、一切ドッグフードを食べなくなり(飼い主も食べてくれないと心配なのでさらにジャーキーを与え続けます)、肝臓や胆嚢に負担をかけていき、やがて胆嚢粘液嚢腫を招いてしまうわけです。

もしおやつで脂っこい人間の食べ物やジャーキーを与えてるのであれば、百害あって一利ありません‼︎ので今すぐにやめましょう


この病気の厄介なところはこ う な る ま で飼い主も気づかず、犬にもほとんど症状が出ない...ということです。

肝臓は許容能力が高い臓器で神経も走行していないので“痛い!”という感覚がありません。

超音波写真にあるような段階まで進行してはじめてそれらしい症状(元気がない・食欲がない・嘔吐や下痢・黄疸など)が出てきます。

血液検査でALT,ALKP,γ-GTP,ビリルビン,血清コレステロール,中性脂肪そしてTBA(総胆汁酸)が上昇して、利胆剤などの内科療法や低脂肪食の食餌療法を開始します。

しかし、胆管閉塞が疑われる状態で利胆剤は禁忌ですし(胆嚢がカチンコチンになって動かないのに使用すると胆嚢破裂を引き起こす可能性がある)、ジャーキーや人間の食事に慣れている子に食餌療法はなかなか困難です。

そうなると、最終的には外科手術で胆嚢を切除したり、胆管閉塞がある場合は洗浄したりすることになります。

ここで言いたいのは、血液検査でかなり悪い状態で全身麻酔をかけて手術を行うということは動物に相当な負担を掛けるということ腫大し硬く動かない胆嚢を切除してもその段階ではすでに肝臓や膵臓もしくは体全体に不可逆的な相当なダメージを与えているということです。


では、どうしたらいいの?......を次回解説します。


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