糖尿病のエマージェンシー

『糖尿病性ケトアシドーシス』という病気があります。


糖尿病(DM)はみなさんもご存知の通り、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なことで起こる内分泌疾患です。

糖尿病には2パターンがあり、①インスリンの絶対的不足あるいは②作用不足で、猫の場合は人間のⅡ型糖尿病に類似した後者や猫にとても多い慢性膵炎が原因となることが多いです。

その糖尿病のワンランク上の病態が糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で、本来は細胞が効率よくエネルギー源としている糖をインスリン分泌の問題でうまく利用できなくなると、からだは糖に変わるエネルギー源として脂肪を利用しようとします。

しかしながら、脂肪はそのままではエネルギー源として利用できないので、肝臓で代謝・分解され、それ自体が毒性を持つ『ケトン体』と呼ばれる余計な副産物が大量にできてしまいます。

これが“ケトアシドーシス”と呼ばれる大変危険な病態になり、さらにストレスや脱水を招いてどんどん悪循環に陥っていくのです。


また、糖尿病は肥満の子で多く見られるのも人間と似ています。

先にあげたケトアシドーシスの病態は脂肪を肝臓で分解処理するので、肝臓に脂肪が多く蓄積し(フォアグラと同じです)、肝臓の機能に影響を及ぼします。

これを『肝リピドーシス』といい、糖尿病の肥満猫は起こしやすい合併症のひとつにあげられます。

例えば、太った猫が引越しや騒音などでストレス状態になって何日もご飯を食べてなかったりしてもこの病態は発生します。

とにかく食べさせることが肝臓への脂肪蓄積を抑える最善策なので、食道や胃にチューブを設置しての長期管理が必要になります。


DMであれば飲水量が増えた...くらいで食欲が落ちることはあまりありませんが、DKAになると肝リピもそうですが尿路感染症や電解質異常・脱水も起こるため適切な入院管理をして、脱水の補正と持続的なインスリン投与を行う必要があります。

今回の猫ちゃんは時間外診療で対応した子ですが、肥満体型で、10日前から食欲がなくなり、ぐったりしている状態で来院されました。

幸いにも数日の入院管理で尿ケトン体は消失し血糖値も安定し、今では食欲も出てきて、自宅でのインスリン投与で管理ができている、と主治医の先生からメールをいただきました!


中齢の猫が「最近になってよく水を飲むんだけど...」ってことに気づいたら、もしかしたら糖尿病かもしれませんよ?


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