急に後ろ足が動かなくなったら...

ネコちゃんの代表的な病気のひとつに『肥大型心筋症(HCM)』があります。

これは心臓の筋肉(左心室)がだんだん分厚くなっていき、血液を貯める左心室のスペースが狭くなり、その結果1回の収縮で全身に押し出す血液量(一回心拍出量)も減ることになります。

簡単に言えば、たとえば1回の収縮で全身に10押し出せていた血液が、HCMになると5に半減してしまう、というわけです。

左心室内の血液は心収縮によって大動脈内に流出され、酸素と結合した血液は全身に運ばれるわけですが、1回の収縮で運ばれてくる血液が5に減っちゃってると手足などの心臓から遠い場所の細胞は酸素不足になってしまうので困ってしまうわけです。

HCMは犬で多い拡張型心筋症(DCM)と違って収縮力が落ちるてはいないため、1回で5の血液しか送り出せないHCMのネコちゃんの身体は、健常な時と同じ10の血液を手足にまで送るために2回心収縮してカバーしようとするわけです。

つまりは、心拍数が“倍”に増えるんですね。

この状態から徐々に進行すると、左房拡大や肺水腫、そして血液の乱流や粘度の上昇により『血栓』ができるようになります。

血栓が心臓内に止まってるうちはまだしも、心収縮によって大動脈内に血栓が流れ込んでしまうと「どこかで」詰まってしまいます!

これが大動脈血栓塞栓症(ATE)という病気です。

この「どこかで」というので一番多いのは、腹大動脈が後ろ足に流れる大腿動脈と三つに分岐するポイントです。

分岐点で詰まってしまうとそこから先の後ろ足に血液が流れないので足が動かない足先が冷たい爪を深く切っても血が出ない痛み、という症状が現われます。


治療方法は血栓溶解剤の点滴や血栓を作らせない予防薬の投与にはじまり、ATEの元々の原因はHCMですので血管拡張薬や利尿剤などの投与が必要となります。

しかしながら、積極的な治療を行っても亡くなってしまうことが大変多いのが現実です。

5~6歳ぐらいからの中齢期から発症頻度が高くなるのがHCMですので、ちょっと動きが鈍くなった寝てることが多いなんて「歳だから...」なんて軽く考えずに心筋症を起こしかけてるのかもしれませんよ‼︎
診断は写真にもあるように超音波検査で心筋の厚さを測ります。

操作する人間でばらつきは多少あるにせよ、通常は6mm程度かそれ以下なのでこの子は7.2~7.7mmありますね(別角度で測定したものでは8~9mmありました...)!


当院では健康診断を含めた予防診療にも力を入れていますので、ネコちゃんなら5,6歳を過ぎたら一度健康診断を受けてみましょう!

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