心臓とは関係のない“肺水腫”ってあるんです

この左側の写真は2日前に不可抗力で蹴られてしまって外傷性ショック状態で来院したワンちゃんの胸部レントゲン写真です。


意識ははっきりとしていて尻尾を振ったり愛想は良かったのですが、37℃以下の低体温・呼吸数速拍・歯茎や舌が白っぽい可視粘膜の蒼白SIRS(全身性炎症症候群)に陥ってる状態でした。

もっと呼吸状態が重ければ、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)という生死に関わっていた恐れもありました。
右側の肺(レントゲン写真は向かって左側が右肺になります)が全体的に白っぽく写っていますが、これは『肺水腫』と呼ばれる状態で、一言で説明すると「地上に居ながら溺れている状態」になります。
肺水腫にもいろいろ分類があるのですが、みなさんが一番よく耳にするパターンは心臓病を患っている子がそのダメージが心臓だけに留まることなく、心臓の手前の肺にまで負荷がかかって陥る(静水圧=血管内圧の亢進といいます)、「心原性肺水腫」かと思います。

つまり肺胞内が水浸しになっちゃってるんで文字通り“溺れている!”と表現されます。

しかし、この子はまだ1歳過ぎの若い子で当然心臓病はありません。

この子の場合は「非心原性肺水腫」というパターンで、血漿膠質浸透圧の低下=血液中に溶け込んでいるタンパク質の一つであるアルブミンが少なくなって血管外に漏れ出してしまうことで起こる病態です。

実際に血液検査でもこの子の血中アルブミン値は優位に低くなっていましたので間違いはないです。


心臓が原因の肺水腫は酸素療法はもとより利尿剤を使って肺胞内の水を抜くことになります。

心原性の肺水腫について書き綴ろうとするとキリがないので今回は割愛しますね... m(_ _)m

一方、“非”心臓性の肺水腫では利尿剤を使ってもまったく無意味でただ身体中の水分を体外に排出しているだけになり、かえって状態が悪化する恐れがあります。

一番大事なのは兎にも角にも酸素です!
この子の鼻にカテーテルを設置して48時間ずーっと100%酸素を流していました。
すぐに状態は改善され、食欲も出てきて、48時間後に撮った写真では受傷後の白っぽくなっていた右肺がだいぶ黒くきれいになってきているのがわかるかと思います。
肺挫傷があったのか、まだ一部が無気肺という膨らんでない状態なのでもう数日酸素療法は継続しなければなりませんが、快方に向かってくれそうで安心しました🎵

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