血液型のお話 〜イヌ編〜

いつも当院をご贔屓にしてくださっているオーナーさんからイヌの血液型判定のお話がありましたのでここで紹介します。

 

イヌの血液型は、D.E.ADog Erythrocyte Antigen)型で分類されるのが一般的で、その種類はなんと13もあります!

D.E.A 1.1,D.E.A 1.2,D.E.A 3....というように分けるのですが、動物病院など臨床の現場で特に重要なのは、D.E.A 1.1(+)(−)かということです。

 

1.1(+)というのはD.E.A 1.1の赤血球抗原を体内に持っているということになり、1.1(−)というのは赤血球抗原を持っていない、という意味です。

このD.E.A 1.1抗原は13種類あるD.E.A抗原の中で最も抗原性が高いものですが、イヌはこのD.E.A抗原に対する自然抗体をもともと持っている子は少ないといわれています。

そのため、1回目の輸血に関してはドナー(授血)とレシピエント(供血)の血液が凝集しないで輸血に適合するかどうかを血液交差試験(“クロスマッチ”といいます)で調べ、凝集しなければ血液型を調べなくても大抵は大丈夫です(もちろん、事前にしっかりと血液型を把握しておくのがベストです!)。

*このクロスマッチは輸血をする場合は必ず行なう検査です

 

話がちょっと逸れますが身近な話題でたとえると、蜂に刺された経験のある人もいらっしゃると思います。

よく2回目刺されるとショックで亡くなってしまう...なんて話を聞いたことありませんか?

なぜかといえば、1回目に刺された時に見ず知らずの蜂毒の抗原が体内に入ると、身体は次回に備えてその抗原に対する抗体を作ります。

2回目に蜂毒の抗原が進入してくると、身体は事前に作っておいた抗体を放出してしまいます。

そうなると、抗原と抗体が結びつくことになるので、ショック等の生体反応が起きるわけです。

 

血液型もこれと同じメカニズムで、D.E.A 1.1(-)は抗原を持っていないので、1回目にD.E.A 1.1(+)の血液が輸血されても滅多にショック等の重篤な副反応がでることはないでしょうが、その時には身体の中でD.E.A 1.1抗原に対しての抗体が作られてしまいます。

となれば、D.E.A 1.1(-)の子の体内には抗体が作られてしまっているので、2回目に輸血をする際はD.E.A 1.1(+)の子を使うわけにはいきませんよね。

まとめると、オールマイティーなドナー血液はD.E.A 1.1(-)型の血液を選ぶということになります。

 

また、輸血ばかりではなく、繁殖をする際にも『新生児溶血』という問題が起こることもあります。

ゴチャゴチャ書いても分からなくなるといけませんので... 汗、交配を避けた方がいい組み合わせをご紹介しますね。

お父さんがD.E.A 1.1(+)お母さんがD.E.A 1.1(-)の場合、産まれてくる赤ちゃんはD.E.A 1.1(+)になります。

その赤ちゃんがお母さんの初乳を飲むと、そのお母さんが万一にも抗体をすでに持っているとするならば、赤ちゃんの体内にD.E.A 1.1抗体が体内に吸収され、その抗体が赤ちゃんの赤血球を破壊して“急性の溶血反応”が起きてしまうわけです。

これは100%起こり得るわけではありませんが、初回の輸血同様に「大抵は大丈夫...」という予測の範疇に過ぎません。

誰でもせっかく授かった命をこんな形で失わせたくはないでしょうから、交配させる前にはしっかり血液型を調べられることをオススメします。

 

当院では血液型検査キットを使ってD.E.A 1.1型を簡便に調べることができます。

血液型カードをお渡ししますので、ご旅行など一緒に外出される時は常に携帯しておくと出先で万一の時にも安心ですよ (`・ω・´) b

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