2016年
8月
26日
金
エアコンで風邪を引いたのか朝から鼻水ダーダー辛いです... 泣
当院も早いもので12月で開院して丸っと3年を迎えます。
予防シーズンが過ぎても毎日毎日忙しくさせてもらって本当にありがたいことです♫
日頃の感謝の意味も込めて何かイベントをと...考えてたのですが、『食』についてテーマを絞ってみたところ申し分のない人間がいました ww
僕の大学時代の同期で、現在は関東で循環器診療に従事しながらもペット食育協会のインストラクターも務めている、獣医師の伊藤大輔氏をお招きして講演を行ってもらうことになりました!
日頃多くの動物たちの診療をさせてもらっている中でも必ずといっても過言ではない“食餌”の話。
僕ら人間でも大事なテーマなんですが、とかく動物になると人間のことをそのまんま当て嵌めてしまったり、バランスを無視しておやつをじゃんじゃん与えてしまったり、我々獣医師でも軽視してしまっている節があります。
総合栄養食であるフードと水さえあれば栄養学的には大丈夫♪...といいながらも、食べて欲しいフードを食べてくれない子達が結構いるのも現実。
そうなると手作り食ってことになりますが、案外手作り食は難しかったり面倒だったり...
動物病院の先生によっては手作り食を否定される!ってお声も案外聞いています。
その辺のアドバイスも含めた講演内容になっています♫
僕自身も飼い主さんにお話ししていることが本当に正しい情報なのか疑念を持つこともあったりしますので、食育に精通しているプロのお話しを拝聴しておさらいしてみたいと思います。
とても話が上手く楽しい先生ですから、参加費6,500円でも十分にお釣りがくる時間と内容であるのは保障します‼︎
多くの方のご参加をお待ちしております m(_ _)m
2016年
8月
25日
木
犬の肥満細胞腫は比較的多くみられる代表的な犬の皮膚腫瘍です。
いろんな形態をみせるので見ただけでは判断できません!
安易にできものがあるから「ちゃちゃっと採っちゃうね〜」は絶対にやってはいけないこと‼︎
犬の肥満細胞腫は悪性腫瘍に分類されるので、イボや良性腫瘍のように腫瘍の周りだけとるようなことをしてしまうと腫瘍細胞を取り残してきてしまうことになり、あっという間に再発です...
今回の子は当院に来る1ヶ月ほど前から抗生剤やステロイド剤を飲ませていたようですが、どーもスッキリしない...ということでセカンドオピニオンで来院されました。
前足の指の間に腫瘤があり、まずは細い針を刺しての細胞診。
肥満細胞腫に特徴的な“アズール顆粒”という赤紫色に染まる顆粒が認められれば比較的容易に診断がつくのですが、この子の場合あまりはっきりとした顆粒が認められません。
形質細胞腫という良性腫瘍の可能性もあったのですが、確実な診断をつけなければ後々大変なことになります。
次のステップはちょっと麻酔をかけての組織生検へと進みました。
採材したサンプルを病理の先生にみてもらったところ、『肥満細胞腫グレードⅡ』と確定診断がでました。
外科手術にてこの腫瘤を切除してしまえば完治も期待できるのですが、悪性の腫瘍であるので“マージン”といって正常な部分も2~3cmほど含めて切除しなければいけません。
この子にそれをやってしまうと指がごっそりなくなってしまいます。
そのため従来は腫瘍を切除した後に、腫瘍細胞が残ったままであるため術後に抗がん剤や放射線照射などの補助療法を組み合わせて治療を行ってきました。
もちろん今回のケースも外科手術+補助療法(抗がん剤や放射線療法)を行ってもいいのですが、病理の先生のご厚意で特殊な免疫染色を行ってもらったところ肥満細胞腫の子で特徴的なc-kit陽性像が得られました。
犬の肥満細胞腫ではKITというある遺伝子変異を持つ個体が26%ほどいると報告されており、その保有率と組織グレード(悪性度)には関連性があるといわれています。
つまり、グレードⅢの症例では50~70%ほどの変異があるのに対し、グレードⅠではほとんど変異がありません。
この子はグレードⅡで、c-kit免疫染色で陽性反応も確認されていることから、KITをターゲットの一つとして効果を発揮する「分子標的薬 パラディア」を使える可能性が見込まれました。
ステロイドや抗がん剤とはジャンルが異なるお薬で、懸念される重大は副作用もほとんどありません。
このお薬が効いてくれれば、だんだん腫瘍は小さくなり、場合によっては肉眼ではわからなくなることもあります。
ただし、基本的にはずーっと飲み続ける必要性があり、決して安いお薬ではないので、服用を始める際にはその点も含めてしっかりとご説明させていただいています。
まだ飲み始めたばかりなので今後の動向を追っていきたいと思います!
2016年
8月
21日
日
連日暑い日が続きますが、みなさん体調は崩されていませんか?
熱中症の注意喚起が年々浸透してきたのか、この夏は重症の子は診ていません。
まだまだ10月くらいまでは十分に注意してください!
さて、今回は『巨大結腸症』で便秘になってしまった子の紹介です。
猫では結構多いんですが、この子は鼻ペチャの短頭種であるフレンチブルドッグです。
6月くらいから“便秘”になってきて、緩下剤などを使ってきましたが、まったく効果はみられず、ここ2週間ほどまったく排便ができていませんでした。
痩せてきて、お腹を触るとカチカチになったうんちが触れます。
レントゲン写真からは黄色でなぞった結腸内に便が溜まっている状態が確認できました。
全身麻酔下で開腹したところ、回腸から下行結腸に渡って宿便があり、結腸の一部を切開して溜まっていた便を摘出しました(なんと400gです‼︎)。
これで排便ができるといいのですが、この子は糞塊を除去した後も腸の動きがよくありません...
最終的には「結腸亜全摘」or「全摘」or「 回腸の位置から直腸手前まで切除・吻合」を行わないといけないかもしれません。
ただ、結腸は限られた血液供給しかない腸であるため広範囲の切除・吻合部位の離開や壊死を起こしてしまうリスクもとても高い部位です。
また、結腸を切除するということは本来の役割である糞便の水分吸収を行う場所がなくなるということですから、術後は慢性的な軟便もしくは下痢が続きます。
では、なぜこのフレブルちゃんは巨大結腸症になってしまったのかレントゲンとにらめっこして考えてみました。
実は半側椎骨(hemi-vertebrae)という短頭種では珍しくない脊椎の奇形がありました(ピンクの丸で囲ったエリア)。
これは胸椎や腰椎でよく見られるもので、これが原因となって脚の麻痺や痛みを起こすことがあります。
この半側椎骨がこの子にはL7(第7腰椎)とS(仙椎)にも確認されました!
※ よく「二分脊椎」と混同されることがありますが、ともに脊椎骨の融合がうまくできなかったものですが、二分脊椎は棘突起が左右に2つずつ認められますのでレントゲンでの鑑別は可能です
ちょうどこのL7-S領域の脊髄(正確には“馬尾”神経といいます)からは膀胱や直腸などに走る自律神経が分岐していますので、もしかしたらこのhemi-vertebraeのため神経を圧迫?して腸管の動きに問題を起こしているのかもしれません。
術後はすこぶる元気で食欲もあるのですが、如何せんまだ排便が確認できていません... orz
食餌と内科療法を併用して経過を追っていきたいと思います。
2016年
8月
19日
金
きょうは小型犬・トイ種でもっとも多く遭遇する膝関節疾患である『膝蓋骨内方脱臼 Medial patellar luxation』の整復手術を行いました。
開業して3年目にして“初”のパテラ整復であり、やるのも久々だったんであらためて病態生理学から(苦手ですけど...)見直して臨んでみました!
まず、膝蓋骨(パテラ)脱臼を分類してみると、、、
【グレード1】
指でパテラが簡単に脱臼するが、指を離すと元の位置に戻る
※ パテラは本来大腿骨の滑車溝という溝を上下に可動するのみで左右にグラグラするものではありません
【グレード2】
指でパテラが簡単に脱臼するが、自然に戻ることはなく指で元の位置に戻すか膝を屈曲・伸展させると戻る
【グレード3】
パテラは常に脱臼しており、指で戻してもすぐに再脱臼し、大腿骨と下腿骨の変形(S字状弯曲)が確認される
【グレード4】
パテラは常に脱臼しており、指での整復が不可能な状態
手術はグレード2以上で適応となり、今回手術した子もグレード3に近いグレード2であり、まだ7ヶ月と若齢であるため手術となりました。
パテラの手術は簡単に言えば、“パテラの収まる溝を深くして、足を真っ直ぐにしてやる”というものです。
理屈は簡単そうですけど、細かいことまで注意しながら慎重に行い、術後はあれだけあったパテラの動揺も消失しています。
日本で飼育されている犬では多い膝蓋骨内方脱臼という病気。
10ヶ月齢くらいまでの成長期に脱臼のグレードが上がっていくと恒久的な歩行異常を来たす恐れがあります。
ある日突然「キャン‼︎」と悲鳴をあげて、びっこを引いているようなら、動物病院できちんと診てもらいましょう♫
2016年
8月
18日
木
例年通り休みなくお盆期間中も診察してたせいか、だいぶ体にガタがきてます... 苦笑
そんな中、この夏は2月に亡くなった親父の初盆でした。
なんか遠い昔のようにも思いつつもまだ半年前の出来事だったのか〜って感じですかね。
病院もお蔭様で順調に軌道に乗ってきてますが、いかんせんプライベートで割かれる用事が多過ぎて、どこかで大型連休でも取らないとぶっ倒れそうです... ww
さて、骨折の整復に使用するロッキングプレート第2弾である『Fixin』を導入しました。
前回のブログにも書いたTITAN LOCKと同様に、骨の治癒に従来のプレートやスクリューのような負担を抑えて、且つしっかりとした固定を期待できるシステムです。
イタリア製で国内ではMicroとMiniが入手でき、当院では2.0mmと2.5mmのスクリューが使用できるMiniシリーズを導入しています。
1.2mmと1.5mmのスクリューを使用するケースではTITAN LOCKを使用しますので、この2つのロッキングシステムでより安全でより確実な骨折整復を行っていけそうです♫