2015年
6月
26日
金
※ モノクロにしてますけど、ちょっとグロいんで気分を悪くされたらゴメンナサイ... m(_ _)m
タイトルそのまんまの病気です。
ハエが集って、卵を産みつけて、孵化したウジがうごめいてる気持ちの悪い病気です...
ハエはとにかく“汚いもの”に集まる習性があるため、糞尿で汚れ湿った皮膚や創傷部にできやすくなります。
室内で飼っている子であればまずそんなことはないんですが、外飼いのワンちゃんではそう珍しいことではありません。
この子はお尻にできた大きな腫瘤が破裂したところにウジがぎっしり詰まって、さらに寝たきりに近い状態であったため臀部や内股にも皮膚を喰い破ったウジたちがたくさんいました...
とにかくピンセットでウジをどんどん取り除いていくんですが、光が苦手なのですぐに皮膚の中に潜り込んでいくんでとても大変なんです...
フィラリア薬にも使われているイベルメクチンが有効なんですが、この子はフィラリア症にも罹っていたので使えませんでした。
ウジを除去した後に患部を衛生的に保ってあげれば回復することもありますが......
梅雨から夏にかけて起こる危険性がある病気ですが、寝たきりであっても常に衛生的に保ってあげれば防げる病気です。
外飼いがダメというわけではありませんが、寝たきり状態になっているのであれば排尿排便で汚れるでしょうからこまめに拭いたり洗ったりし、できれば玄関や土間に移動して、お風呂マットなどのクッションを敷いて褥瘡・床ずれを起こさないように配慮してあげましょう!
2015年
6月
22日
月
先日膀胱と尿道内に結石があって尿の出が悪くなったワンちゃんの手術をしました。
膀胱を切開して、レントゲンに写ってた細かい石はすべて取り除き、術後数日が尿道カテーテルを入れて持続排尿させ、カテーテルを抜いた後も自力排尿ができて退院しました。
しかし、退院して2,3日後にポタポタと尿がペニスから漏れてくるようになりました(尿漏れ・尿淋滴)。
飼い主さんはオムツを履かせて対応してくれていましたが、もともと外でオシッコをする習慣だったのに外に連れ出してもしません...
尿はきれいな?(オシッコにきれいも汚いもないわー‼︎とツッコまれそうですが...)色してるんですけどなぜか尿が漏れてくる...
この子は症状や状態から『膀胱アトニー』と診断しました。
この記事を書くにあたってネットで検索してみると膀胱アトニーの解説が「排尿筋の緊張および膀胱の収縮機能の欠如」となっていますが、これは間違いですね。
『アトニー Atonie(ドイツ語)』とは「本来緊張が衰え、消失した状態。無力症や無緊張症』と定義されていますから、膀胱アトニーとは「排尿筋の弛緩および膀胱の収縮機能の欠如」と訂正すべきですね!
この子は高齢で後肢の不全麻痺もみられる子で、飼い主さんがご自宅で下腹部を圧迫したところ、尿がポタポタ出ていました。
膀胱アトニーの子(LMN性膀胱麻痺)は外尿道括約筋が緩んでいる(例えるなら、水道の蛇口をきちんと締めていない...と思ってください ww)ので、圧迫排尿が容易ですが、椎間板ヘルニアが原因の排尿障害(UMN性膀胱麻痺)で膀胱が緊張してパンパンになってるケースでは外尿道括約筋は収縮しているのでいくら圧迫排尿しても尿は出ませんし、尿道カテーテルだってなかなか挿入できないんです。
難しい話ですが 汗...、UMN性膀胱麻痺とLMN性膀胱麻痺では同じ神経性の麻痺でもまったくメカニズムが違うんですよね〜
治療はカテーテルを入れておくか1日に何回か圧迫排尿といった方法がありますが、今回は膀胱を収縮させるお薬で反応を見てみることにしました。
このお薬ではよだれや嘔吐が副作用でみられるんですが、案の定よだれがひどかったみたいです... orz
膀胱アトニーは尿石や膀胱炎から発症することもありますが、この子の場合は後肢の麻痺との関連性が強いかもしれません。
まだまだ治療は続きそうです...
2015年
6月
21日
日
寝ていると呼吸が荒い...とのことで来院したワンちゃんのレントゲン写真です。
ちょっと分かりづらいので黄色の丸で囲んだところに“しこり”が見つかりました。
加えて、胸水もあるため肺が膨らみにくくなっているので呼吸がし難いんですね...
胸水を少し抜いて沈殿物を塗抹標本したものが下の写真です。
目玉みたいな大きい塊や小さな細胞が寄り集まっています。
この細胞診の結果、この子は「癌」に侵されていることがわかりました。
レントゲンで肺にしこりがあることから原発性なのか転移性なのか...になりますが、他の検査ではどこにも転移を起こすような病変が見つからないことから、肺原発の悪性腫瘍(肺腺癌)の可能性が高いことになりました。
腫瘍の治療の3本柱は、①外科手術、②化学療法、③放射線療法です。
他に+αとして、免疫療法、BRM療法(生物学的療法)、分子標的薬療法、温熱療法、光線力学療法などありますが、基本的には人間も動物も、今も昔も、『手術』・『抗がん剤』・『放射線』が腫瘍の3大治療法に変わりありません。
ただ、手術ができないケースもあれば、放射線が当てられない場所もあります。抗がん剤だってどんな腫瘍にも効くわけではありませんし、副作用もきちんと認識しておかなくてはいけません。
大事なことは、上記の3大治療法+αでその子の悪性腫瘍を根治できるのか?それとも緩和療法・対症療法でいくのか?またはそうせざる得ない状態なのかを僕ら獣医師は飼い主さんとしっかり相談して方向性を決めていく必要があります。
なんでもかんでも切ればいいわけではないし、何をやっても無駄...ってサジを投げてもいけません!
モノが言えない動物たちに代わって、獣医師と飼い主さんとでその子にとってどの選択が一番なのかを決めていきます。
どれが正しいのかは実のところわからないとは思いますが、後々悔いの残るような選択だけはしたくありませんね。
2015年
6月
21日
日
第8回パピークラスも滞りなく修了しました〜♫
柴の大和くん、トイプーのチョコちゃん、アンディくん、オレオちゃんでした。
引き続きご自宅でもトレーニングをがんばっていきましょう!
春の健康診断キャンペーンも今月いっぱい(6/30)までとなっています‼︎
この期間にフィラリア検査を始められた方は常に10%offで購入できます。
「散歩に行かない」とか「虫よけスプレーをしている」、「蚊取り線香を焚いている」ではフィラリア予防は全然できていません!
フィラリア症は投薬でほぼ100%予防できる病気ですから、愛犬のことを考えてしっかり予防はしましょうね
2015年
6月
19日
金
蒸し蒸しした季節になってきました!
今年は2種類のチュアブルタイプのノミ・マダニ駆除薬をご用意しています。
* 【ネクスガード】
有効成分・・・アフォキソラネル
毎月1回の投与で、ノミなら6時間・マダニなら24時間で駆除ができます。
スポットタイプと違って皮膚の弱い子やシャンプーの影響は受けません。
ビーフフレーバーの食べやすいお薬です。
* 【ブラベクト錠】
有効成分・・・フルララネル
今夏に新たに発売される経口のノミ・マダニ駆除薬です。
1回の投与で3ヵ月効果が持続するので、飲み忘れ防止に役立ちます!
こちらもフレーバータイプなので与えやすいです♫
どちらかに優劣があるわけではありません。
たとえば、フィラリア予防薬をすでにまとめて6~7ヵ月分持って行ってらっしゃる方はついついノミ・マダニ予防を忘れがちです(フィラリア予防薬でもパノラミス錠にしてる方はノミ・マダニ予防も兼ねているので大丈夫ですよ〜)...
ブラベクト錠は3ヵ月効果が持続するので、7月に投薬すればマダニの最盛期の夏場を安心して乗り切れます!
価格はスポットタイプより+400円くらいとちょっとお値段張りますが、経口タイプは「ネクスガード×3本=ブラベクト1個」ぐらいの価格になっています。
※ このブラベクト錠は7月発売になるのでもうしばらくお待ち下さいね! m(_ _)m
散歩やドッグランで外に出かける機会が多いワンちゃんには夏場のノミ・マダニ対策を怠らないようにしましょう!
2015年
6月
17日
水
ネコちゃんの代表的な病気のひとつに『肥大型心筋症(HCM)』があります。
これは心臓の筋肉(左心室)がだんだん分厚くなっていき、血液を貯める左心室のスペースが狭くなり、その結果1回の収縮で全身に押し出す血液量(一回心拍出量)も減ることになります。
簡単に言えば、たとえば1回の収縮で全身に10押し出せていた血液が、HCMになると5に半減してしまう、というわけです。
左心室内の血液は心収縮によって大動脈内に流出され、酸素と結合した血液は全身に運ばれるわけですが、1回の収縮で運ばれてくる血液が5に減っちゃってると手足などの心臓から遠い場所の細胞は酸素不足になってしまうので困ってしまうわけです。
HCMは犬で多い拡張型心筋症(DCM)と違って収縮力が落ちるてはいないため、1回で5の血液しか送り出せないHCMのネコちゃんの身体は、健常な時と同じ10の血液を手足にまで送るために2回心収縮してカバーしようとするわけです。
つまりは、心拍数が“倍”に増えるんですね。
この状態から徐々に進行すると、左房拡大や肺水腫、そして血液の乱流や粘度の上昇により『血栓』ができるようになります。
血栓が心臓内に止まってるうちはまだしも、心収縮によって大動脈内に血栓が流れ込んでしまうと「どこかで」詰まってしまいます!
これが大動脈血栓塞栓症(ATE)という病気です。
この「どこかで」というので一番多いのは、腹大動脈が後ろ足に流れる大腿動脈と三つに分岐するポイントです。
分岐点で詰まってしまうとそこから先の後ろ足に血液が流れないので足が動かない・足先が冷たい・爪を深く切っても血が出ない・痛み、という症状が現われます。
治療方法は血栓溶解剤の点滴や血栓を作らせない予防薬の投与にはじまり、ATEの元々の原因はHCMですので血管拡張薬や利尿剤などの投与が必要となります。
しかしながら、積極的な治療を行っても亡くなってしまうことが大変多いのが現実です。
5~6歳ぐらいからの中齢期から発症頻度が高くなるのがHCMですので、ちょっと動きが鈍くなったや寝てることが多いなんて「歳だから...」なんて軽く考えずに心筋症を起こしかけてるのかもしれませんよ‼︎
診断は写真にもあるように超音波検査で心筋の厚さを測ります。
操作する人間でばらつきは多少あるにせよ、通常は6mm程度かそれ以下なのでこの子は7.2~7.7mmありますね(別角度で測定したものでは8~9mmありました...)!
当院では健康診断を含めた予防診療にも力を入れていますので、ネコちゃんなら5,6歳を過ぎたら一度健康診断を受けてみましょう!
2015年
6月
10日
水
NY発のオーガニックでできた犬用トリーツのご紹介です♪
ベースの原材料はオーツ麦(エンバク)と麦粉でパルメザンもしくはチェダーチーズで焼き上げてあります。
開封すると僕ら人間でもおつまみでいけちゃうくらいのいい香りがしますよ!
*小麦や乳製品にアレルギーがある子はお控えください m(_ _)m
ラインアップは6種類+ミックスの計7種類‼︎
ベーコンパルメザン味、ピザマット味、チキンパルメザン味、アップルチェダー味、キャロブ・チーズケーキ味、ワイルドブルーベリー味とあります。
毎日日替わりで1週間与えて見るのもいいかもしれませんね〜
販売価格は100gサイズで640円になります。
院内に味サンプルを用意してありますので、気に入ったものがあれば取り寄せ注文しますのでお声掛けください!
2015年
6月
08日
月
春の狂犬病予防接種もだいぶ落ち着いてちょっと暇な〜 ww日が続いている今日この頃ですが。。。
で、時間があるんで飼い主さんにお渡しするように予防接種後の注意書きを作ってみました。
幸い開業後は一件もワクチンアレルギーの子はいませんが、現実には注射をした後にアレルギー症状を起こす子はいます。
昨日も他院で夕方にワクチンを接種した後に、目や口周りに赤みと痒みの症状が出た子が時間外で来院されました。
予防接種はなるべく午前中に打つようにしましょうね!
また、当院では犬の混合ワクチンは6種,8種,10種と取り扱っていますが、今後は8種の取り扱いをやめる予定です。
ドッグランやカフェ、不特定多数のワンちゃんと接することが多い子は10種の接種をするようにオススメしています♫
2015年
6月
06日
土
昨日のブログでは舌下免疫療法をピックアップした減感作療法について書きましたが、今日はハウスダストマイトへのアトピー性皮膚炎を持ったワンちゃんへの注射タイプの減感作療法についてお話したいと思います。
IgE抗体検査でハウスダストマイトのひとつ“チリダニ(コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニが代表格)”に対してアレルゲン感作がみられる子の減感作注射療法に『アレルミューンHDM』があります。
このアレルミューンHDMの有効成分はコナヒョウヒダニから分離される蛋白抗原はDer f2というもので、ヤケヒョウヒダニから分離される蛋白抗原はDer p2とは厳密に言えば違う蛋白抗原なのですが、各々には交差性というものがあり、Der f2とDer p2はまとめてグループ2アレルゲンとして犬アトピー性皮膚炎に有効性を示します。
交差性というのは「互いに似たようなものは同じ効果(この場合は症状)を起こす」というのもので、食物アレルギーで牛乳がダメな場合は、牛肉もNGだし、ラム肉もダメ!って話聞いたことありませんか?
日本独特のムシムシした湿っぽい季節である5月〜9月はこのチリダニが最盛期を迎えるシーズンです。
毎年この時期になると、皮膚が赤くなったり・痒がったりするんで動物病院でステロイドや抗ヒスタミン剤なんかをもらっていた、、、なんて子はいませんか?
確かにステロイド剤などを使えば一時的にせよ赤みや痒みを抑えることができます。
けれど、飲むのをやめたり減らしたりすると悪化した...なんてご経験ある子もきっと多いんじゃないでしょうか?
また、チリダニ対策で、掃除機かけたり、バル◯ンみたいな噴霧剤炊いたり、空気清浄機をつけたり...とあれこれやってもなかなかいなくなるもんじゃないんですよね〜
そこで、国内の犬アトピー性皮膚炎の原因アレルゲンNo.1であるこのチリダニに対する減感作療法にこのアレルミューンHDMが登場しました!
従来までの注射での減感作療法に比べて簡単な投与プログラムで頻回投与や長期に渡る通院も抑えることができます。
もちろん維持するために定期的に接種し続けなくてはなりませんが、長い目で見ればステロイド薬などを蔓延と飲み続ける愛犬への負担を考えればメリットは高いと思います♪
夏場の皮膚病でお悩みのワンちゃんはもしかしたらこのハウスダストマイトのアトピー性皮膚炎かもしれませんので当院までご相談ください!
2015年
6月
06日
土
子猫の里親さんを募集しています!
「面会してみてから考えたい!」という方がいらっしゃいましたら保護主さんに連絡をとりますのでお気軽にお問い合わせください。
すでに猫を飼ってる方から初めて猫を飼ってみたい方まで、猫の魅力にハマってください ww
また、うちでは飼えないけど「猫を飼いたい!」というお知り合いがいらっしゃったらご連絡いただければ幸いです m(_ _)m
よろしくお願いします♫
2015年
6月
05日
金
昨日は午後を臨時休診とさせていただいて、犬猫のアレルギーについての知識と情報をアップデートしてきました!
みなさんがよく耳にするアレルギー反応の代表格に「スギ花粉症」がありますね。
春先に飛散したスギ花粉を吸引したり粘膜に付着したりすることで、くしゃみや涙などの症状を引き起こす、もはや日本人なら4人に1人はなっているというデータもある“国民病”として認知されています。
スギ花粉症は大きく4タイプあるアレルギー反応のⅠ型アレルギー(即時型過敏症ともいいます)に分類されます。
ちなみにツベルクリン注射で接種部位がぷく〜っと腫れてくるのはⅣ型アレルギー反応です。
Ⅰ型アレルギー反応のメカニズムを解説すると、経口摂取や皮膚曝露を含めて体内にアレルゲン物質が侵入してくると、異物を捕食したマクロファージという細胞から得た情報をリンパ球のひとつであるT細胞が受け取って、もうひとつのリンパ球であるB細胞が認識してIgE(免疫グロブリンE)という抗体を産生し、肥満細胞や好塩基球に働きかけてヒスタミンなどの炎症性メディエーターを放出して痒みや発赤などのアレルギー症状がでます。
ワンちゃんやネコちゃんのワクチン接種で顔が腫れたり痒がったりするワクチンアレルギーもこのⅠ型アレルギー反応のひとつです。
注射後の数十分から数時間後に症状がでて病院に戻ったことあるよ!...ってご経験ないでしょうか?(ない方がいいんですけど... 苦笑)
今回のセミナーで得た最新トピックスとしては、「経皮的に食物アレルゲンに曝露されると感作が成立し、適切な量とタイミングで経口摂取された食物はむしろ免疫寛容を誘導する」というものでした。
つまり、皮膚からでもアレルゲン物質に曝露され続けると食物アレルギーを発症し、アレルゲン物質をちょっとずつ摂取していくとだんだん体に馴染んできてアレルギー反応を起こさないよ!ってことです。
ポイントは皮膚からでもアレルゲン物質の侵入を許すと、その物質に対して口から食べても同様にアレルギー症状=食物アレルギーになってしまう、という点です。
人よりも皮膚が薄い犬や猫ではよりアレルギー反応を起こしやすい?ってことかもしれませんね。
皮膚アレルギー疾患の治療としては、①皮膚のバリア・②アレルゲン物質からの感作を減らす・③炎症を抑える、の3本柱で臨むと考えられています。
①は角質脂質帯へのセラミドの補充、②は低分子タンパクおよび加水分解タンパク食による除去食の給餌と減感作療法、③は局所の外用ステロイド薬の塗布となります。
減感作療法は古くから皮膚に濃度を調整したアレルゲン物質を注射していき徐々に体に馴らしていくというものが主流でしたが、近年人でもスギ花粉に対して舌下免疫療法という治療法が行われているのを聞いたことがあるのではないでしょうか?
犬・猫も同様にあらかじめ特異的IgE抗体検査で陽性のアレルゲン物質れが含まれた液体を口腔内粘膜に投与することで徐々に免疫寛容状態にもっていくという自宅で行うことができる新しい減感作療法です。
さらに、慢性化したアトピー性皮膚炎を起こしている場合では細菌やカビの侵入も重なってなかなか薬物療法ではコントロールができないケースもみられますが、MMDパルス外用療法というセラミド補充と局所への外用ステロイド薬の塗布を細菌やカビを抑える薬用シャンプーと一緒に併用する方法を1週に1回の頻度で1~2ヵ月間行うことによって治療を行う方法もちらほら始まっています。
梅雨入りも間近で、これから皮膚トラブルが増える夏を迎えるにあたって、なかなか治らない皮膚病を抱えている方は一度ご相談ください!
2015年
6月
03日
水
6月に入りましたね〜
暑い日もあれば曇っててもジメジメ・ムンムンする嫌な時期です...
日が照ってない時期であっても湿度が高いこの頃から『熱中症』の注意喚起をしています。
特に呼吸が苦手な短頭種はことさら要注意です!
不用な日中の外出は控えたり、水分補給をこまめにさせるようにしましょう♪
さて、先天性の疾患のひとつに『門脈体循環シャント Portosystemic Shunt』というものがあります。
本来は母親の胎内にいる時期に消失されるはずの「シャント血管」が残存してしまう血管異常です。
消化管から戻ってくる血液は“門脈”とよばれる血管にのって肝臓に運ばれるのですが、シャント血管の存在によって肝臓を経由せずに後大静脈に還流してしまいます。
肝臓は解毒や代謝分解を行う重要な臓器ですが、門脈血液がきちんと肝臓に戻ってこないために様々な障害(発育不良や元気消失・食欲不振、よだれから痙攣発作などの神経症状)を起こしてしまいます。
写真にあるようなCT検査で確定診断ができ、シャント血管の本数や位置のほか、手術の可否を判断することができます。
超音波検査でも見つかることはあるのですが、この子の場合肝臓がかなり小さくなってはっきり分からなかったためCT検査をしたところ肝臓の中でシャント血管が見つかりました。
この子の場合はシャント血管はこれ1箇所だけでなく、他にも渦を巻くように何本かあり、手術はかなり難しいことが予想されます。
術後の合併症も含めてインフォームドコンセントさせてもらった上で、今のところ内科治療と食事管理を行っています。
PSSはマイナーな病気でもなく、シャント血管のタイプは様々なバリエーションがありますが、超音波検査やCT検査で血管異常をみつければ根治を目指せる病気でもあります。
代表的な好発犬種はヨーキーやシーズですが、人気犬種のトイプードルも多く報告されています。
若いワンちゃんで、「なんとなく元気がない」や「成長期なのに発育が良くない」はもしかしたらこの病気かもしれませんね。