2015年
5月
30日
土
きのうは診療を1時間早く切り上げて、恒例のHJSに行って参りました〜
いつも会場はいっぱいになるんですけど、今回は題目が『骨折』ということで満員御礼でした。
“治って当たり前‼︎”の骨折手術の奥深さと難しさを改めて再認識させてもらいました。
これまでの古典的プレーティングからロッキングプレート法に切り替えていくべき時代なんですね。
ちょっと高いですけど... 苦笑
MATRIXという新しいロッキングプレート法のセミナー&実習を9月に大阪で大学の同期・後輩たちと個別レッスンを受けてきます!
理論と技術の習得を目指して、より多くのオーナーさんと動物に還元できるように日々切磋琢磨です!
2015年
5月
28日
木
ご報告が随分と遅くなってしまってましたが、当院のスタッフ2人がロイヤルカナンさんが主催する『栄養管理アドバイザー』に見事合格しました〜‼︎
ロイヤルカナンの社員であり大学の同期であるM先生に約1年に渡って院内セミナーを行っていただき、試験にパスし、立派な額縁入りの認定証を受付に飾ってあります♫
各年齢やシチュエーションに応じたフード選びにお悩みの方は、ぜひご相談ください!
ロイヤルカナン以外にもヒルズ、フリントリバー、スペシフィックなどの各メーカーの良いものはやっぱり良いんでその子その子に応じた最適なフードをご提案させていただきます。
“食がからだを作る”というのは人も動物も同じです。
個人的にはホームセンターやドラッグストアで売られているローコストのフードはオススメできません。
安いには安いなりの理由が必ず存在しますから... 苦笑
大型犬や多頭飼育されている方にとって食費をなるべく抑えたい気持ちはよく理解はできますが、だからといってどこのメーカーかも定かではないフードを与え続けることが本当にその子のためでしょうか?
獣医師が推奨するフードは少なくともペットフード公正取引委員会が承認している総合栄養食のみです。
もちろん病状に応じて手作り食などが適していると判断をすることもありますが、基本的にはそのフードと水だけを与えていれば生命が維持できる総合栄養食を選びましょう♪
2015年
5月
24日
日
5月も終盤にさしかかり、あっという間に2015年も折り返し地点ですね。
病院の混雑もピークを越えてこうやってブログを書いてる時間も持てるようになってきました。
きょうは『アトピー性皮膚炎』について当院で行っている治療をご紹介します。
アトピーは簡単にいえば、「環境中の何かしらのアレルゲン物質に体が反応して炎症反応=痒みや赤みを伴う」病気です。
問診で発症年齢は?季節性はあるのか?食餌は何を与えているのか?を注意深く聞いていき、病変の発症部位を見定め、細菌・カビ・皮膚内部寄生虫の存在の有無をルールアウトして、ステロイド剤に反応を示せば、仮診断でまず「アトピー」が疑われることとなります。
一見皮膚病と思いきや腫瘍(リンパ腫や肥満細胞腫など)であったり、自己免疫疾患(天疱瘡やエリテマトーデス)であったりすることもありますので、状況に応じて血液検査や細胞診・皮膚生検を行うこともあります。
また、アレルギー検査ということでは、Ⅰ型過敏症反応が関与する免疫グロブリンEが上昇する『特異的IgE検査』やリンパ球が関与するⅣ型過敏症を調べる『リンパ球反応検査』を行うことでより正確な診断ができます。
人医学でもアトピー治療にはアレルゲン物質からの忌避(環境中アレルゲンの場合はなかなか難しいですが...)とステロイド剤や免疫抑制剤などを使うことが多いかと思います。
動物にもステロイドを使用すると痒みや赤みは引くのですが、量を減らしたり休薬すると振り返すことがよくあります。
そうすると飼い主さんとしては、我が子のかゆみを抑えてあげたい!って気持ちから効いてくれるステロイド剤を長期的に使い続けてしまう傾向にあります。
ステロイドは“諸刃の剣”といわれるくらい功罪の大きいお薬です。
効くんだけど、長期使用は抵抗力を落としたり、肝臓に負担をかけたり、食欲が増すので太ってしまったり...と使い方を誤るとしっぺ返しを喰らっちゃいます... orz
そこでこの『インタードッグ』の登場です!
組換え型犬インターフェロン-γ製剤で当院では週3回の1日おきの皮下注射をまずは1ヶ月間続けます。
急には効果が出ないので開始時はステロイドと併用しつつ、効果を見ながら徐々にステロイドを減らしていきます。
その後は1ヶ月に1~2回の皮下注射で良好な反応を示してくれる子が多い印象を持ちますね♫
もちろん個体差はありますからうまくいかないケースもありますし、スケジュール通りに来院していただけないと思うような反応を示してくれなかったりもします...
けれども“脱・ステロイド!”を目標にがんばって通院してくれた飼い主さんとワンちゃんには満足をいただいているかと思います。
また、アトピーの原因は食餌ではないものの「皮膚を作るのは食餌から」という考えに基づいて、ロイヤルカナンのアミノペプチドフォーミュラを食べてもらっています。
いいフードなんですが、もうちょっと安いとこちらも薦めやすいんですけどね〜 hahaha
アトピーは完治できる病気ではありません。
ですが、前年よりも今年は皮膚が悪くならないようにしよう!ぐらいの気持ちで向き合っていってあげるのがちょうどいいかと思います。
2015年
5月
22日
金
どんなジャンルにでも“流行り”ってものがありますが、国内でいま一番の人気犬種といえばトイプードですね。
ひと昔前に流行った(ちょうど僕が獣医師になった頃ですので10年ほど前でしょうか)ミニチュアダックスフントはホント少なくなりました。
M.ダックスの好発疾患といえば、『椎間板ヘルニア』ってのはよく知られていますよね?
椎間板ヘルニアには大きく分けて2タイプあります。
椎体と椎体の間には椎間板と呼ばれるクッションの役割をする構造物があります。その椎間板を輪切りにすると、中心部には髄核があり、それを取り囲むようにぐるぐる渦巻いている線維輪があります。この髄核が線維輪を突き破って飛び出してしまうのがHansenⅠ型(椎間板脱出型)で、髄核は飛び出さない程度に線維輪が盛り上がってしまうのがHansenⅡ型(椎間板突出型)です。
ともに脊髄を圧迫するので程度(分類としてはGrade1〜5まであります)によりますが、酔っ払いみたいに千鳥足な歩みになる子もいれば、完全に脚が麻痺してしまい痛みも感じないような子もいます。
確実な治療としてはこの圧迫している椎間板物質を外科的に取り除くことで症状の改善はみられますが(ただし、脊髄軟化症という状態になると何もすることはできません...)、最近では手術以外の治療方法も注目されています。
今回のケースは痛みは感じるんだけど完全に後肢麻痺になっているGrade4のダックスちゃんです。
CT・MRI検査をした上での外科手術を提案しましたが、本人の性格?も考えてこの『エラスポール』というお薬を使っています。
好中球エラスターゼ阻害剤という名の注射薬で、もともとは人間の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)といった肺障害に使用されるお薬ですが、獣医領域では椎間板ヘルニアの内科治療でスタンダードになっているステロイドに代わって使用されることがあります。
僕もこれまで勤務医時代を含め何度か使ってきましたが、投与量やスケジュールがイマイチ...だったのかあんまり良い手応えはありませんでした。
けど、この子にはまさにビンゴ‼︎
10日間連続投与なので飼い主さんには負担をかけてしまいますが、投与5日目で若干のふらつきはあるもののだいぶしっかりとした歩様になってきました♫
この調子ならステロイドからも脱却できるし、手術をしなくても済みそうな予感がします。
まぁ、欠点はちょっと高いお薬だということでしょうか... orz
2015年
5月
21日
木
狂犬病とフィラリアの予防もだいぶ落ち着いてきたこの頃ですが、GW明けてからは連日のように予防以外の診療でバタバタ慌ただしい毎日が続いています...
お待たせすることも多々あり、大変申し訳ありません m(_ _)m
「食欲不振から偶発的に見つかった心基底部腫瘍」、「落下による骨折」、「深夜の急性胃拡張-捻転からの胃洗浄」、「痙攣発作のくも膜嚢胞」、同じく「肝性脳症からの門脈シャント疑い」...と、それ以外にも入院管理が必要な子がいたりでテンテコ舞いな毎日を送っています ww
2週間前は開業以来初めて風邪を引いてしまいました...
疲れてそのまんま転寝しちゃってるからですよね ww
なんか獣医に成り立てだったかれこれ10年前を思い出しました。
勤務初日から深夜の2時上がりだったし、重症の子がほぼ毎日入院してたんで他のスタッフと交代で病院に寝泊まりしてたり、よく3年持ったなぁ〜って ww
もうアラフォーなんで体力的にもかなりキツくなってますけど、当院でできる範囲のことはやってあげたい!と思っています♫
さっ、明日も門脈シャント疑うの子のCTを撮りにちょっくら師匠の病院にいってきま〜す=3=3=3
2015年
5月
13日
水
とても見慣れない形をしたモノですが、「v-gel」という気道確保するためのウサギ用の器具です。
これまでは海外から輸入せざる得なかったんですが、やっと国内でも販売されるようになったので先日行ったウサギさんの避妊手術で早速使ってみました!
犬や猫は手術の際に気管チューブを気管の中に挿管して麻酔管理を行いますが、ウサギではこれがなかなか難しいんです...
開口幅が狭く、舌も牽引しにくく、喉頭を確認するのがほぼ無理な動物なので、気管チューブを入れるテクニックをもった獣医さんは盲目的に入れてるみたいです。
不器用な?僕にはとても無理なんで... 汗、これまではマスクを鼻に被せて手術を行ってきました。
幸いこれまでトラブルを起こしたことは一度もなかったんですが、マスクでは換気量やETCO2(呼気中の二酸化炭素濃度)が測定できなかったんですね。
この「v-gel」は舌の上に這わせて挿入すると自然に咽喉頭部にフィットしてくれるます。
換気量もETCO2もきちんと測定できましたし、安全に手術を行うことができました♫
ウサギの避妊手術は毛刈り・消毒を含めても1時間もあれば終わりますが、これからもより安全に麻酔管理を行う上での必須アイテムになりますね!
2015年
5月
08日
金
この左側の写真は2日前に不可抗力で蹴られてしまって外傷性ショック状態で来院したワンちゃんの胸部レントゲン写真です。
意識ははっきりとしていて尻尾を振ったり愛想は良かったのですが、37℃以下の低体温・呼吸数速拍・歯茎や舌が白っぽい可視粘膜の蒼白とSIRS(全身性炎症症候群)に陥ってる状態でした。
もっと呼吸状態が重ければ、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)という生死に関わっていた恐れもありました。
右側の肺(レントゲン写真は向かって左側が右肺になります)が全体的に白っぽく写っていますが、これは『肺水腫』と呼ばれる状態で、一言で説明すると「地上に居ながら溺れている状態」になります。
肺水腫にもいろいろ分類があるのですが、みなさんが一番よく耳にするパターンは心臓病を患っている子がそのダメージが心臓だけに留まることなく、心臓の手前の肺にまで負荷がかかって陥る(静水圧=血管内圧の亢進といいます)、「心原性肺水腫」かと思います。
つまり肺胞内が水浸しになっちゃってるんで文字通り“溺れている!”と表現されます。
しかし、この子はまだ1歳過ぎの若い子で当然心臓病はありません。
この子の場合は「非心原性肺水腫」というパターンで、血漿膠質浸透圧の低下=血液中に溶け込んでいるタンパク質の一つであるアルブミンが少なくなって血管外に漏れ出してしまうことで起こる病態です。
実際に血液検査でもこの子の血中アルブミン値は優位に低くなっていましたので間違いはないです。
心臓が原因の肺水腫は酸素療法はもとより利尿剤を使って肺胞内の水を抜くことになります。
心原性の肺水腫について書き綴ろうとするとキリがないので今回は割愛しますね... m(_ _)m
一方、“非”心臓性の肺水腫では利尿剤を使ってもまったく無意味でただ身体中の水分を体外に排出しているだけになり、かえって状態が悪化する恐れがあります。
一番大事なのは兎にも角にも酸素です!
この子の鼻にカテーテルを設置して48時間ずーっと100%酸素を流していました。
すぐに状態は改善され、食欲も出てきて、48時間後に撮った写真では受傷後の白っぽくなっていた右肺がだいぶ黒くきれいになってきているのがわかるかと思います。
肺挫傷があったのか、まだ一部が無気肺という膨らんでない状態なのでもう数日酸素療法は継続しなければなりませんが、快方に向かってくれそうで安心しました🎵
2015年
5月
03日
日
“がん”や“悪性腫瘍”の治療を行っていく上で必ずと言っていいほど問題になるのが、「栄養管理」です。
病態・病状(腫瘍のできる場所。たとえば口の中)や治療(抗がん剤など)によっては自ら食べることを拒んだりします。
よく血管から行う一般的な点滴を“栄養点滴”だと説明している獣医さんもいますし、血管から点滴していれば栄養は補えていると勘違いされている飼い主さんもいらっしゃいます(血管から栄養を補う点滴は「高カロリー輸液」と呼ばれるもので、糖・アミノ酸・脂肪分をそれぞれミックスした点滴液を、普通は頸にある太い静脈(頸静脈)から点滴を行います)。
ですから、いくら点滴だけしても食べなきゃどんどん痩せていきます...
せっかく“がん”の治療を行っていても栄養状態が悪くなれば満足な結果が得られません。
写真の子は自ら好きなものを少量食べるものの1日量には到底及ばないため、入院中は高カロリーの流動食を強制給餌で頻繁に与えていましたがそれでもまだまだ足りません。
自宅でこの強制給餌を嫌がる子に日に何度も与えるなんて飼い主さんからしてみればかなりの負担です。
そこで、PEGチューブという生体に優しいシリコンでできたチューブを使って胃瘻チューブを設置しました。
短期間の栄養管理であればもっと侵襲の少ない食道瘻チューブで構わないですが、この子が闘う相手は終わりがみえない腫瘍相手です。
きちんと管理(チューブ周りの定期的な毛刈り)ができれば1年くらいは問題なく使用でき、経口摂取では足りない栄養もこのチューブを介して胃内に直接送り込むことができ、投薬も粉末にできるものはフードと一緒に注入することが可能です。
チューブを収めるために洋服は着させないといけませんが、経験上ほとんど不快感を覚えるケースはなく、もちろん自らの口からも問題なく食べることができます。
担がん動物を栄養不良に陥らせる・餓死させる...なんてことだけは絶対に避けないといけません!
まだまだ闘いは続きますが頑張っていきましょう!
2015年
5月
01日
金
聞きなれないネーミングかもしれませんが、『副腎皮質機能亢進症(候群)』という内分泌疾患です。
よくみられる症状としては以下のようなものがあります。
・水をよく飲む
・食欲が旺盛
・疲れやすい
・パンティング(暑くもないのにハァハァしている)
・左右対称の痒みを伴わない脱毛
・ビール腹(ポッドベリー)
・皮膚の菲薄化や色素沈着
血液検査や写真にあるように超音波検査で副腎(“ADRE”と表記してあるのが副腎です)の形態やサイズを測定すれば診断は容易ですが、飼い主さんはなかなかこの病気の初期症状に気づきません...
水をよく飲むのは「暑いからだろう」とか、疲れやすいのは「歳だから」とか、「食べ過ぎじゃない?」や「皮膚病が全然治らない」などの他に、これまで経験した中で一番驚いたのはお腹が出てきた原因をオス犬と同居していないのに「妊娠したのかしら?」でした... 苦笑
幸いにもこの子はフィラリア予防時に行う検査の際に一緒に行った健康診断でこの病気を初期段階で発見することができました!
一見元気で食欲もある子でも飼い主さんにも気づかないトラブルを抱えていることは珍しくありません!
当院では狂犬病予防接種とフィラリア検査と一緒に、『春の健康診断』を4,5歳以上のワンちゃんにはオススメしています。
6/30まではフィラリア予防薬も10%OFFのキャンペーンを実施していますので、ぜひこの機会に愛犬の健康をチェックしてみましょう🎵